猫ばか日記☆ピノとレモ

我が家に来て10年になる最愛のキジトラ姉妹の日々

星の王子さま

子供の頃に「星の王子さま」を読んだとき、私には「星に咲く一輪の花」をどうしてそんなに特別に思うのかが理解できなかった。王子さまの気持ちがわかるようになったのは長じてからだ。とは言え、それを言葉にできるだけの能力はないので「なんとなくわかる」に過ぎないけれど。


野猫たち(人の住んでいる街中ではないので「地域猫」とは言えないと思う)と接するようになって4年になろうとしている。基本的には「野猫は長生きしたところでその先に幸せがあるわけではない」し「その死を看取ってもらえる子はほんのひと握り」だと思うので、好きなものを食べて短くても充実した一生を終えてほしいと思っている。事故にあったり虐待にあったり感染性の疾患にかかったり、それは仕方のないことだとも思う。そんなことがないに越したことはないけれど。
ただ、実際に「若く」「避妊済みで」「感染性疾患にもかかっておらず」「他に何の問題もなく」「人にもなついている」子の腎臓の値だけが悪いという検査結果の数値を目の前に見せられて唸ってしまった。「好きなものだけ食べて腎不全を悪化させて早死にしてもいい」とは思えなかった。知った以上、知らなかったで済ますことはできない。うちに先住猫がいなければ間違いなく連れ帰ってできるだけのことをするのに。
この子は虐待騒ぎがあったときに私が一番心配していたふたりの”人懐こい”子のひとりで、騒ぎのあとに出てきてくれたときは胸を撫で下ろした記憶がある。もうひとりの黒白ハチワレ君は最近突然姿を消してしまい、この子まで失うのはとても耐えられない。飼い猫のようにべったりくっついていられない以上、してやれることは少ないけれど、無理なんだけど、それでも「守ってやれなかった」という思いは消えることなく積もっていく。

この子は私にとって、王子さまの星に咲く花なんだと思う。