猫ばか日記☆ピノとレモ

我が家に来て10年になる最愛のキジトラ姉妹の日々

蘇る感覚

このところ、正直言って色々な感覚が鈍いどころかなくなっていた。心身ともに多忙だと本能が優先になって最初に失われるのは人間にしかない感情なんだとしみじみ思う。
今日ぎりぎりまで迷っていたのだが久しぶりに能を観た。一部は「班女」で二部は「融」。班女は元々苦手な曲なのもあり、途中眠くなり能を観るテンションにならなくて、もう能を感じる感覚も死んだのかもしれないと悲しくなった。喫茶店でお茶して二部を待つ間、何度かもう帰ろうかなと思いもしたが融は好きな曲なのでチャレンジしてみることに。
私は無機質でひんやりした融が好き。わかりやすく言うと友枝昭世さん的な舞の融こそが最高だと思っている。今日のおシテさんは真逆で、人間臭さだだ漏れで未練たらたらの融であった。が、キューッと神経が舞台に引っ張られて詞章が流れるように耳に入って来てトランス状態に。ああ、これこれ、これよ、と嬉しくなり、臭くて気が散りそうになっていたお隣さんの香水も気にならなくなっていた。すごいね、能ってすごい。他の芸能ではこういうのは起きないんだ。よかった、まだこの感覚が残ってて。