猫ばか日記☆ピノとレモ

我が家に来て10年になる最愛のキジトラ姉妹の日々

母の着物

母には、私が結婚した時に持たされた母のお気に入りの小紋を着せたいと思っていた。父の時は私が服を預かっていたので父が好きそうなコーディネイトにしたのだけれど、母は施設生活が長かったためにお洒落着などはなく、これがいいなーと漠然と思っていた。しかし逝った当日に斎場に行けなかったため、兄たちで着るものを決めてしまっていた。湯灌の日に持って行けばよかったのだけれどそこまで頭が回らず。上から被せる形なら入れられますよ、と言われたので今日の焼香の際に入れてもらった。
母が源氏物語を読む会に通っていた頃に仕立てたものだろうか、昔の建て物の長廊下や橋掛かりに花をあしらったきれいな小紋なのだが、いっぱいに丈を伸ばして仕立て直しをしてくれても私には短くて、一度袖を通したきり箪笥に眠っていたのである。今は、棺に入れる折り鶴を折っている。天へ行けるように。


実はそっと心の底で「見るのも辛いような状態でいる母をタンゴが連れて行ってくれたんじゃないかな」って思ってる。母がタンゴを抱いて、たくさんの鶴に導かれて空へ向かう姿を思い浮かべてる。