だが耳は抜群にいいレモ

家人が帰っても私は玄関のドアの音がするまで気がつかないが、レモは車はもちろん足音も聞こえるらしく、レモがはっと顔を上げて耳をピンと立てると数秒後にドアの音がする。今日なんか雨降りで、宴会だからタクシーで帰宅したのに気がついた。
レモは今も語り草だが、東日本大震災で人間が揺れを感じるかなり前から窓の淵に伏せて凄い声で唸っていたのだ。何を不気味な声で唸ってる？と抱き上げたすぐ後にガンっと突き上げるような揺れが来て抱いたまま本棚が倒れないように寄りかかって「ピーちゃーん、どこにいるー」と叫んだことは忘れられない。窓の外の電線が長縄跳びの縄のように揺れていた。もう、ああいうのはイヤだ。